MCC104_2020春学期 「言語と社会」J日本語での開講
<藤田ラウンドからのメッセージ>
 社会言語学という学問領域の名前を聞いたことがありますか?「言語学」が体系化されるにつれて、言語の構造や理論が推し進められ、それと同時に切り捨てられていく言語の側面も生じました。「理論言語学」が1960年代に確立するころに、言語は抽象的なコードとして研究されればされるほど、本来の人が「話す」という側面が置いてきぼりにされ、話者の持つ社会的属性や個人の表現はそぎ落とされて理論が優先されるようになります。
 このときに、では理論言語学からそぎ落とされてしまう部分に焦点を当てて、この半世紀に発展してきた学問領域が「社会言語学」です。以下は、シラバスに書かれていることですが、授業ではできるだけわかりやすく、社会と言語との関係を分析できるような視点を発見し、社会の大きな声となりやすいメディア上の、またグローバリゼーションにおける言語の役割について、学び考えていきたいと授業を準備しています。

<シラバス>
社会的文脈における言語を研究するために必要な基礎知識を、マクロとミクロの双方の視点から学ぶ。合わせて言語の変化、相互作用における言語、言語とアイデンティティ、バイリンガリズム、言語政策と計画なども考察する。開講年度によって、開講言語が異なる。
 言語と社会の関わりを考えるときに、そこには必ず言語を話す「人」が介在する。人は生まれてから言語を身につけることはわかっているが、21世紀においては、すべての人が初めて身につけた母語・第一言語だけで一生涯、不自由なく生活ができるとはいいきれなくなってきている。
 この「言語と社会」のコースでは、グローバリゼーションを背景とした多言語が交差する現在の、言語と社会の関わりをマクロ(社会的)な言語、ミクロ(個人的)な言語を扱う社会言語学の知見から概観する。特に(1)多言語のスピーチ・コミュニティ(ダイグロシア、言語切り替え、言語維持と言語シフト、標準語と方言、ピジンとクレオール語、言語政策)、(2)言語話者に着眼した言語のバリエーション(地域方言・社会方言、ジェンダー、年齢、エスニシティー、言語の変化)、(3)言語使用に着眼した言語のバリエーション(スタイル、レジスター、ポライトネス、異文化コミュニケーション、会話分析、言語に対する態度)について、日本語・英語を中心に他の言語も含めて考える。